熊本大学GP「IT時代の教育イノベーター育成プログラム」 国際セミナー
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実施報告

行事名
 熊本大学 国際教育セミナー  -国際的に通用する高等教育プログラム-
主催者
 熊本大学
日時
 平成20年9月29日 13時00分~15時50分
報告者
 熊本大学 社会文化科学研究科 教授システム学専攻 大森不二雄
報告日
 平成20年10月22日

 実施したイベントの成果

 グローバル化に伴い、物・人・情報が国境を越えて流動する昨今、教育界のボーダーレス化も急速な発展を遂げている。世界的な高等教育市場の拡大を背景に、 従来より国境を越える留学生市場を有していた北米や英国においてはもちろんのこと、シンガポール等のアジア諸国でも国境を越える教育提供は盛んになってきている。 このように、留学生市場を含む国際教育市場が大競争時代を迎えようとしている中で「国境を越える高等教育 “Trans-national Education”」の提供はグローバル化を生き抜くための重要な教育戦略として認識されつつある。
 今回実施した国際セミナーでは、英国キングストン大学より、高等教育の国際化・国際戦略、大学経営の専門家であり実践経験も豊富なロビン・ミドルハースト(Robin Middlehurst)教授をお招きし、「国境を越える高等教育-海外分校と遠隔教育 “Trans-national Education”」と題し、国境を越える教育の提供(Trans-national Education、以下、「TNE」と記す)が盛んになってきた背景、その論理的根拠、TNEの様々な提供方法、異なる地域(英国、オーストラリア、中東等)における実践事例、それぞれの事例における問題点や課題など、TNEに関する基礎知識に加えて、プログラムやカリキュラム、更には指導法に国際性を持たせることが重要である等の高等教育の国際化、国際展開において重要となる幅広い様々な知見を提供して頂いた。
 ミドルハースト教授によると、「国境を越える高等教育(TNE)」とは、学位授与をする高等教育機関とは異なる国に居住している学習者が参加する教育プログラム全般のことを指し、グローバル化と共に1990年代半ば頃から盛んになって来ているという。
 従来はイギリスやオーストラリアが主要供給国であったTNEであるが、アジアや中東諸国が留学生の受け入れ国として頭角を現してきた近年では、TNEを展開することはそれらの国においても重要な課題となってきていることが分かった。
 TNEは、それぞれの国又は高等教育機関が目指しているゴール、及びその国の教育システムの発達度合いによって違った利益をもたらすとされているが、ミドルハースト教授はTNEシステムが孕む危険性や問題点についても触れられ、その議論の中核となるものは、教育を貿易ビジネスとみなしていること、そしてその為に開講科目が、安価で教えることができ且つ卒業生がすぐに経済的リターンを得られるような実学的な科目に偏っている、という点であると指摘された。しかし、これらの点を踏まえてもなお、益々発展するグローバル化の中ではTNEは幅広い可能性を持つものであり、質の高い教育プログラムやTNEの供給機関は生き残っていくであろう、と述べ講演を締めくくられた。
 本講演では、グローバル化に対応した高等教育の在り方について、より深い理解と知見を参加者と共有することができた。さらに、講演後の参加者との質疑応答では、本学教員や国際課職員とミドルハースト教授との間で、「TNEを日本の高等教育機関が効果的に取り入れるにはどうすればよいか」、「英語による教授はTNEに不可欠なのか」といった実践的な質疑が交わされ、本事業に対する様々な知見を得られただけでなく、今後の本学における国際展開についても有益な情報を得ることができたと考える。

 今後の事業への反映

 ビデオ録画された本講演は、教授システム学専攻GP事業の「国際遠隔共同授業の開発」において、実際の授業コンテンツとして使用される。
[文責:教授システム学専攻 特定事業研究員 竹内愛]

 当日の様子

 
英国 キングストン大学 教授
Robin Middlehurst 氏

 
熊本大学 教授システム学専攻
大森 不二雄

 
会場の様子
 

 参加人数

【合計30名】
・学内 28名 事前登録:19名、当日参加:9名
・学外 2名 事前登録:2名、当日参加:0名