熊本大学GP「IT時代の教育イノベーター育成プログラム」 国際セミナー
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実施報告

行事名
 熊本大学 国際セミナー -大学国際化戦略の理論と実践-
主催者
 熊本大学
日時
 平成20年6月3日 14時30分~16時00分
報告者
 熊本大学 社会文化科学研究科 教授システム学専攻 大森不二雄
報告日
 平成20年6月17日

 実施したイベントの成果

 グローバル化が進む今日、高等教育の国際化は、日本の大学が取り組むべき最重要課題の一つであると言われ始めて久しい。しかし、実際にどのように国際化を推進していくべきかについては、それぞれの大学が手探りで模索している状態である。
 今回実施した国際セミナーでは、英国ノッティンガム大学よりクリスティン・ハンフリー(Christine Humfrey)特任教授をお招きし、大学の国際化戦略に関してご講演を頂いた。ハンフリー教授は、中国やマレーシアに分校を設置するなどの革新的な国際化戦略で知られるノッティンガム大学において、1982年に国際部を創設されて以来、2007年に退官されるまで25年に渡って国際部の部長を務められており、同大学の国際化戦略を推進してきた立役者である。
  本セミナーでは、大学の国際化を推進し成功させていくには、どのような視点から戦略を考え取り組んでいくべきなのか、という点について、同教授の豊富なご経験をもとに、「高等教育の国際化:利益、受益者、課題の明確化」という演題でお話を頂いた。ノッティンガム大学での事例を用いての同教授のご講演は、理論的かつ実際的であり、本学の国際化戦略にも適用できるような有益なものであった。
  本演題からも明らかであるように、ハンフリー教授は、国際化を進める際のファーストステップとして、(1)国際化がもたらす利益、(2)その利益を享受するステークホルダー、(3)国際化プロセスにおける検討課題、の3点を十分に理解・検討することが不可欠であるとして、その重要性を説かれた。
  ハンフリー教授によると、高等教育の国際化においては、利益とは一言でいえども多層的であり、留学生が授業料という形でもたらす、いわゆる経済的利益だけではなく、文化的、知的、外交的な面など、さまざまな形での利益がある。また、それらの利益は、留学生を受け入れている大学のみならず、その大学に在籍する現地学生、大学のある地域、地方、そして最終的には国全体という、異なったレベルのステークホルダーに還元されるという。同教授は、それらの多層的な利益、ステークホルダーを明確にすることこそが、国際化を実際に進める際に、最初に着手されるべきであるとして、それらを整理するために、マトリックスを用いてお話をされた。
  さらに、国際化を円滑に進めるにあたっては、利益と受益者を明確化すること以外にも、検討されるべき課題がある。ハンフリー教授は、その検討課題を考えるにあたっては、(1)留学生市場についてのリサーチ(studying the market)、(2)高いクオリティーの保持(committing to quality)、(3)リソースの配分(allocating resources)の3点が重要だと示唆された。これらの3点はお互いにポジティブに影響し合っていることから、同教授は「Virtuous Circle(好循環)」という表現を使われた。具体的には、留学生マーケットについて詳しくリサーチをすると、それがより良い学習環境の供給に結びつき、良い学習環境が整えば、その分良質の学生を集めることが出来る、というような循環のことを指す。
  講演に引き続いての質疑応答では、本学の阪口副学長を初めとして、教員や留学生から、「留学生のパーセンテージを数値目標化するべきか」「国際化を推進するために、地域コミュニティーの協力を得るにはどうしたら良いか」等の興味深い質問があり、ハンフリー教授より丁寧な回答を受けた。

 今後の事業への反映

 本講演は、ビデオ撮影されており、本GP事業の「国際遠隔共同授業の開発」において、実際の授業コンテンツとして使用される。また、ハンフリー教授から得た知見は実際的なものであり、本学における国際化戦略にも参考にされるべきものである。
[文責:教授システム学専攻 特定事業研究員 竹内愛]

 当日の様子


ノッティンガム大学 特任教授
Christine Humfrey 氏

 
熊本大学 教授システム学専攻
大森 不二雄

 
会場の様子
 

 参加人数

【合計45名】
・学内 42名 事前登録:40名、当日参加:2名
・学外 3名 事前登録:2名、当日参加:1名