熊本大学GP「IT時代の教育イノベータ育成プログラム」 eポートフォリオ研究会
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実施報告

行事名
 第2回 熊本大学 eポートフォリオ研究会
主催者
 熊本大学
日時
 平成20年10月16日 17時00分 ~ 19時00分
報告者
 熊本大学 社会文化科学研究科 教授システム学専攻 中野 裕司
報告日
 平成20年11月14日

 実施したイベントの成果

 第1回 熊本大学 eポートフォリオ研究会から約10ヶ月を経て、eラーニングシステムによる学習活動および教授を実践していく上で、eポートフォリオシステムの重要性はますます高まってきている。これを受けて第2回 熊本大学 eポートフォリオ研究会も各方面よりお集まりいただき、非常に有益な情報収集・意見交換の場とすることができた。
  今回実施したイベントは、本研究会の趣旨であるeポートフォリオ活用の方向性や実質的な開発、運用に関し、学内において知識を広く共有すべく、2名のご講演者をお招きすることができた。オープンソースでフリーウェアのeラーニングシステムであるMoodleやそれと連携するeポートフォリオシステムであるMaharaを実際にシステム導入・運用を手掛けられているミツテックコンサルティング 取締役社長 吉田光宏氏と、同じくオープンソースでフリーウェアのeラーニングシステムであるSakaiの開発や普及に尽力され、Ja Sakai Community を立ち上げ、幹事を務めておられる名古屋大学 情報連携基盤センター 准教授 梶田将司氏にご講演いただいた。併せて、熊本大学大学院 教授システム学専攻において2008年度入学の学生を主な対象に現在運用中であるSakaiによる学習ポートフォリオシステムと、英語コミュニケーション能力診断システム(自動で英語能力をポートフォリオ化)のポスターセッションも設け、本学のeポートフォリオに関する取り組みの事例として紹介した。
  吉田氏はMoodleやMaharaの世界的な国際化プロジェクトにおける日本語翻訳をボランタリに一手に引き受けられ、eポートフォリオシステムとしてMaharaの備える機能の概要や翻訳の手法について、またシステム管理・運用の面からもMaharaとMoodle間でのSSO(Single Sign On)によるユーザ認証についてデモンストレーションを交えながらご紹介いただいた。Maharaの持つ特徴を内省(reflection)、自己アピール、コミュニケーションと位置づけて、eポートフォリオについて馴染みのない出席者でもイメージし易いようお話いただいた。また、Mahara はオープンソースeラーニングシステムとして活用の場が広がっているMoodleとのユーザ認証の連携が可能とのご説明もあり、吉田氏が「日本語化していて面白かった」と表現されたとおり、eポートフォリオシステムとして非常に魅力的であるという印象を受けた。その一方、Moodleの学習履歴等との連携についての課題など、Maharaの開発の最新動向のご紹介を受けながらの意見交換が交わされた。熊本大学では、現在、教授システム学専攻の学習ポータルにおいて、コンピテンシー充足状況を様々な科目の課題達成状況と連動表示する学習ポートフォリオを開発・運用しており、システムやデータ連携、データ構造やシステムの汎用化などを視野に入れて、今後のシステム開発や運用に取り組んでいく必要があると再認識した。
  梶田氏は、WebCTの日本導入をはじめとして常にコース管理システムの最前線で活躍されており、最近では、Sakai Foundation 内に作られた日本版 Sakai のコミュニティである Ja Sakai Community の立ち上げ及びその幹事を務められ、Sakai の国際化における日本語翻訳にご貢献されると同時に、国際化の新しい手法の開発をSakai Foundation内で中心的に行われている。ご講演では、まず大学におけるeポートフォリオとSIS(Student Information System : 学務情報システム)、CMSとの関わりの指針を提示していただいた。つづいて Sakai コミュニティにおける開発体制についてと Sakai の機能の一つであるeポートフォリオシステム OSP がSakai の次期バージョン 2.6 でどのように機能するのか最新の動向についてご紹介いただいた。特に Sakai フレームワークに OSP が完全に統合されたことは、Sakai でeポートフォリオを取り扱う上で非常に朗報であると考える。熊本大学大学院 教授システム学専攻において、現在 Sakai による学習ポートフォリオシステムを構築し、運用中である。現行のシステムは OSP を用いずに構築しており、今後のシステム開発や運用に OSP を取り入れていくことも検討していきたいと考える。
  それぞれのご講演後に Mahara や Sakai OSP に関する質疑応答の時間を設け、さまざまな意見交換を行った。システムの構築・運用に関する質問からeポートフォリオの捉え方についての質問まで講演者と出席者との間でそれぞれの知見から議論がなされた。これにより、本学におけるeラーニングシステムおよびeポートフォリオシステム構築における非常に有意な情報を共有することができたと考える。

 今後の事業への反映

 本事業におけるeポートフォリオシステムとして、現在、教授システム学専攻の学習ポータルによる学習進捗管理および同専攻において Sakai による学習ポートフォリオシステムを運用中である。オープンソースeポートフォリオシステムとして注目されている Mahara と Sakai の最新の動向を踏まえ、今回得られた知見から学習者にとってのより良い支援環境の構築に活かしていきたいと考えている。
[文責:教授システム学専攻 特定事業研究員 宮崎誠]

 当日の様子


ミツテックコンサルティング 取締役社長
吉田 光宏 氏


名古屋大学 情報連携基盤センター 准教授
梶田 将司 氏

教授システム学専攻 中野 裕司

eラーニング推進機構 喜多 敏博

会場の様子

会場の様子

ポスターセッションの様子

ポスターセッションの様子

 参加人数

【合計46名】
・学内 35名 事前登録:32名、当日参加:3名
・学外 11名 事前登録:11名